志を強く持つ,人生教訓
■志を強く持つ
私は卒業後地元企業に勤めたが、そこで自分の非力を悟り自分を鍛えてこなかったことを後悔した。非力のままの屈辱人生には絶対なりたくない。強い人間にならねばならないと強く思い覚悟の上京を実行した。1968年に大手重工業へ転職し2014年退職する迄一貫して製鉄所製鋼設備・転炉排ガス処理設備の設計に携わった。完成する迄に3年程かかる設備の設計は容易でない。一つの設計ミスも犯せない重圧と工程上の焦燥感が付き纏うがやり甲斐と責任感を推進力とし完成を目指した。完成時の達成感は格別である。職場には大学卒の俊英が勢揃いしているなかで、凡人の私が同等の仕事をやるには武器が必要であった。編み出した手法は、複雑に絡み合う問題を深掘りするのではなく簡単なモデルに置き換えほぐし本質を見極めるものである。解決が難しい難問を私の手法で解いたことがある。私は将来を予測し前準備しておくことを習慣とした。私は設計時に工夫しアイデアを出すことがたまらなく楽しい。
■誠実・善良な実績
私はどの設計業務にも「不具合を起こさない設計・誤作させない正確な図面作成」を信条に取り組んで来た。このことが真面目な取り組みと高く評価された。国内外の仕事を多数やってきた実績が設計技術者たちや顧客から頼りにされたと思う。私の誠実な態度が信用信頼される要因になったのではないかと自画自賛している。海外の仕事で5年かけて完成させた設備が顧客の操業方法変更で大改造される事になり助言を求められたことがある。
20名程のエリート技術者が私の助言を聴く為に来日した。これまで経験してきた多くの実績を踏まえ、改造ポイント・方法を懇切丁寧に講義した。この講義が「痒い所に手が届くような緻密で完璧な講義内容で良かった」との評価を得た。また、回転機器について耐久性や安全性の議論の中で、「独国製を使え」と頑固に強要されたことがある。高負荷下で運転される為高い安全率を持った日本製を採用」と覆した。信頼性を重視した判断と高評価された。
■強く願えば必ず叶う
妻を大袈裟に譬えれば「もののけ」かな?強烈なオーラと強靭な生命力と異次元の長所と別次元の欠点を持つ怪物である。妻は「衆生所遊楽」の境地の最も近い所に居て人生を楽しむのがすごくうまい。奇想天外な言動で私を楽しませてくれることもあればその欠点で私を悩ませることもある。妻はよく「強く願えば必ず叶う」と言う。能天気なこの言葉を聞き流す事にしていたが、私の人生にピッタリの言葉となった。強くなることを願望した私が強くなるきっかけを作ってくれた妻に出会えた事実は偶然ではない気がして「人生とは不思議なものだ」と思うばかりである。
■77 年の人生教訓
退職後知人の設計事務所に籍を置き仕事を続けている。今たまらなく楽しい仕事を喜寿の歳までやれる幸せを噛みしめている。幸せな人生を送るには「志を強く持つ事・誠実である事・善良である事・将来を正しく見通す眼力を養う事」であると77年の人生から得た教訓である。

寄稿者:木村憲治(S40機械)

