地震のメカニズムと地震発生確率について
■最近の地震
最近、地震の発生が多いように感じられる。5月の1ヶ月間に発生した震度4クラスを超す地震は、気象庁地震情報により、5日に石川県能登地方で、11日には日高地方と千葉県南部、13日にトカラ列島近海、19 日に豊後水道、22日は新島・神津島近海、26日は千葉県南部と8回も発生している。そこで地震について調べてみた。
■地殻の変動と地震のメカニズム
日本列島周辺の地殻は移動続けている。大陸地殻ユーラシアプレートと北米プレートに向かって、フィリピン海プレートが年間3~5cm の速さで沈み込んでおり、その下へ太平洋プレートが年間8cmの速さで大陸側へ移動している【図1】。関東周辺の地盤は大陸側へ年間2~3cm水平移動【図2】しながら年間1cm程度隆起し続けている。大陸や日本列島の地殻の厚さは30~40km、海洋プレートの地殻厚さは薄く10km 以下とされており、プレートの下部には高温のマグマが流動している。地震発生メカニズムは、地殻変動によってプレートの境界や内部にひずみが発生し、ひずみによる応力が地殻断層や岩盤を破壊する。破壊する瞬間の振動が縦揺れ(P波)と横揺れ(S波)となって地中を伝わる。震源の破壊振動エネルギーの大きさが「マグニチュード(M)」対数指標値で、地上が揺れ動く加速度指標値が「震度」である。関東周辺で発生する地震の特徴は、東京・千葉や栃木・茨城地域を中心とする深さ10~50kmにて M3~4程度の地震が活発に発生している。関東大震災は、100年前に相模トラフの海溝で M7.9 の地震が発生した。
■地震の発生確率
政府地震調査研究推進本部が、2023 年1月13日に公表した活断層と海溝型地震の長期評価結果によると、関東全域の「活断層」における今後30年以内に M7 程度の地震発生率は50~60%とされ、相模トラフ(南関東地域)の「海溝型プレート境界地震」による M7程度の30年以内の地震発生確率は70%程度【図3】とされている。地震発生確率の値は、過去数千年前からの地震発生歴史記録データを基にして、衛星測位システム(GNSS)による地表の水平移動・隆起データ、更に、地下岩盤を数百メートルまで掘削し、岩盤内の伸び・縮み・ひずみ方向を高感度で常時観測している1,300ヶ所に設置された電子基準点リアルタイム解析システム(REGARD)の動的データ、それに加え、震源断層が破壊する伝播シナリオなど総合評価し、統計的に計算された値である。こうした最新鋭の地震学であっても、地震の発生時期や場所・規模を精度高く予測はできないとされている。ちなみに、1995年の兵庫県南部地震 M7 の発生確率値は 0.02~8%とされ、また、2016 年の熊本地震 M7の確率値も0%〜0.9%とされた。これらのことから前述の地震発生確率 50~70%には切迫感がある。
■地震への備え
例えば、交通事故で死亡する統計確率は約0.2%とされているが、誰もが交通事故には十分注意している。地震と交通事故を単純比較はできないが、「地震も身近な危険」、地震対策が重要であることは言うまでもない。




寄稿者:小林信雄(S31機械)

